MT4を使ってFX自動売買を行う場合、自宅パソコンを利用することも勿論可能ではありますが、より安定的に運用するためにVPSを活用するのが一般的です。

FX自動売買用のVPSサービスは月額費用も2,000円前後のプランが多いですが、格安の汎用的なLinuxOSのVPSを活用することで月額500円前後までコストダウンすることができます。

当サイトのグリッドトレードEAである「千刻」は口座フリーにしていることもあって、複数口座で運用されている方が多数いらっしゃいますが、そうなると次なる疑問が発生してくるわけです。
 

汎用的なLinuxOSの格安VPS(最低プラン)ではMT4をいくつ動かせるのか・・・と。

 

FX自動売買専用とされているVPSならいざ知らず、月額500円前後のLinux最安プランの多くはCPUは1コア、メモリは512MBというスペックです(WebArenaは国内最安なのにメモリ1GB搭載です)。

それに対して MT4の動作環境(スペック要件)は各社まちまちですが、多くの業者は1GB以上を掲げて、FXTFにおいては4GB以上という高スペックを推奨としています。(私の利用している海外FXのXMではメモリ256MB推奨で実に16倍も差があったりしますが、各社ともに基準としているものが違うのでしょう)

動作環境すら満たしていない貧弱スペックのVPSでMT4を複数同時に稼働させるというのは、高スペックVPS利用者からみれば狂気の沙汰かもしれませんが、実際にMT4を複数同時に稼働させることは可能です。

ということで、最もイージーにLinuxOSのVPSでMT4環境が構築できるConohaのVPSを使って改めて実証してみました。
※画像での外部リンクについては広告となります。予めご了承ください。

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ConohaのVPSについて

今回検証に用いたのはConohaのLinuxOS VPSです。最安プランは、初期費用無料で月額費用は620円。スペックはCPU1コア、メモリは512MB、ストレージはSSDで容量は30GBとなっています。

上記のようにConohaのサイトに分かりやすく表記してありますが、もう少し補足します。

まず、初期状態で仮想メモリ領域として2GB割り当てられています。別のLinuxOSのVPSでMT4環境を構築する検証の中で経験しましたが、最安レベルのスペックだと仮想メモリ領域がないとFX自動売買環境としてまともに使えません。最初から仮想メモリを潤沢に設定してあるので、後追いで設定不要なのは楽でいいですね。

それからConohaはサービスレベルとして月間稼働率99.99%以上を謳っています。VPSやレンタルサーバーの稼働率での99.9%と99.99%の重みは随分と異なり、99.99%ということは一切止めないというのとほぼ同義です。
しっかりとしたシステム構成を取っているからこそ、サービスレベルとして提示できるのでしょう。実際に私が利用している期間中、障害・緊急メンテに当たった記憶はないです。

参考までに・・・さくらインターネットは99.95%です。WebArenaは調べてみましたが不明でした。
尚、WebArenaの新プランIndigoについてはサービス提供されたばかりだからなのか、緊急メンテナンスが散見されます。


Linux 格安VPSでのMT4同時稼働検証

今回検証ではMT4業者として、スペック要件が最も高い FXTF とスペック要件が最も低い XMを採用しています。

MT4の設定としては、チャートはドル円チャート1つのみとし、気配値もドル円のみに変更した程度。MT4の軽量化としてよく上げられるバーの数などは変更せずです。

1.VPS再起動
最初にVPSを再起動しておきます。その直後のCPUやらメモリの状況です(ターミナルからTOPコマンド)。

 
2.MT4:XMを1つ目起動
VPSにリモートデスクトップ接続しシステムモニターを開いてから、MT4を1つ起動したところです。起動に約30秒程度掛かり、その間はCPUを多く使っています。

 
3.MT4:XMを2つ目起動
1つ目のMT4起動で落ち着いたところで、そのまま2つ目のMT4を起動したところです。2つ目の起動で、早くもCPU100%張り付きが発生します。MT4の起動には約60秒程度掛かります。物理メモリ側は、キャッシュか何かが解放されたのでしょうか。

 
4.MT4:XM2つ起動後、時間経過
MT4起動時は負荷が上がりますが、起動し切ってしまえば落ち着きます。その状態が以下です。これならまだまだいけそうです。

 
5.MT4:XM4つ目起動(少し飛ばして4つ目です)
MT4の起動時間はさらに長くなり、CPUが振り切れる時間も長くなります。物理メモリは相変わらず解放されているような節がありますが、仮想メモリの使用も積み重なります。

 
6.MT4:XM4つ起動後、時間経過
MT4起動後、ほんの少し時間をおいて落ち着かせた状態です。だいぶCPUの関しては逼迫してきました。

 
7.MT4:XM4つ FXTF1つ起動後、時間経過
XM4つ起動後、メモリ4GB推奨のFXTFを起動。MT4起動時については上記5とほぼ同じような状態なので省略。起動後は以下の状態で、CPUの余力は殆どない状況です。尚、この段階ではMT4にはEAを動作させていないので、単純にチャート表示しているだけです。

 
8.MT4:XM4つ FXTF1つ起動、リモートデスクトップ切断
システムモニタでずっとウォッチしていましたが、システムモニタ自身もリソースを消費しますし、デスクトップでGUI操作するにもリソース消費するのでそれらを切ります。そして例に倣って少し時間を経過させます。(ターミナルからTOPコマンド)

CPUのアイドルが42.4とあるので、CPUは約半分の使用率。物理メモリはほぼ使い切って、仮想メモリは2GBのうち1GBを利用。
これだけ見ると仮想メモリを使いまくっているけれどCPUはまだ少し余力ありと見えるのですが、、、

問題はロードアベレージ(実行待ちプロセス)が10近くの数値を叩き出しているところでしょうか。

vmstatで仮想メモリへのデータの出し入れ(スワップアウト・イン)、IO待ち等の状況を確認してみます(vmstatコマンド)。

仮想メモリは使いまくりですが頻繁なスワップアウト・インが発生している訳ではなく、ついでにディスクIOもほとんどなし(EAを動かしていないのでIOなくて当たり前)。

スワップ、IO待ちはなくCPUのアイドル時間(空き時間)もあるのに、実行待ちプロセスが平均で10もあるという状況です。コンテキストスイッチ(systemのCS値)が一般的に高すぎるレベルにあるので、それのオーバーヘッド分かとも思いましたが、スイッチにCPU時間を使うもんだと思っているのでなかなか頭で理解しようとしてもよく分からない状態です。(CPUのアイドルする時間がたくさんあるならプロセス捌いてほしいものだが・・・)

結論

ということで不明な点は残りますが、人の目には遅延していることは分からない程度の実行待ち(処理遅延)が発生していると思われますが、

汎用的なLinuxOSの格安VPS(最低プラン)ではMT4は5つまでは動かせる

と仮結論を置かせていただきます。

尚、この状態で私自身は本番口座を運用していますが、EAのパラメータ設定でカクついてストレスを感じるということはありません(普通にリモートデスクトップ接続をしている遅さ程度)

(注意)
実行待ちが発生しているであろうことを考えると、トレードスピードを争うEAは向かないことは言うまでもありません(スキャル,アービトラージ系EAを格安VPSで運用しようなんて方はいらっしゃらないと思いますが念のため)。

※本検証ではEAを乗せていませんが、1年半以上4~5のMT4を同時に動かしてEAを乗せています。本検証は途上ですので、追って記事更新予定です。


<補足>
さくらVPS、WebArenaも同じように検証しましたが、MT4を同時起動していくについれてロードアベレージは上昇し(実行待ちあり?)、仮想メモリの利用量も増大する傾向は同じです。但し、さくらVPSだけCPU使用率については低い状態を保っていました。
国内最安VPSのWebArenaは新プランになって仮想メモリ(スワップ領域)が0なので、自身で設定する必要ありますのでご注意ください。Conohaと同じように2GB積めば十分です。

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